トウ立ちした春菊が教えてくれた事。

いよいよ畑で野菜も取れ始めてきました。人参などは初期除草を格闘したかいもあってなかなかよい出来です。野菜が出来たとなると次に考えるのは売り先です。販売は栽培よりもハードルが高いと言われます。有機農家の売り先としては主に1スーパーなどに卸す。2地元の直売に出す。3レストランなどで使ってもらう。4宅配の野菜セット販売などがあります。私が目指しているのは少量多品目なので頭の片隅で野菜セット販売を考えていました。しかしそこに問題が。収穫のピークが合わないのです。たとえば春菊が旬を迎えるころには、大根はまだまだ小さい。つまり品目数がなかなかそろわない。「春菊ちょっとまってて!」といって待ってもらえればいいのですがこの時期の春菊は一日で一斉にトウ立ちがはじまります。トウ立ちした野菜は売り物になりません。一生懸命手除草した春菊がゴミに…。いても立ってもいられなくなった私は近所の八百屋に走り「あのー農家になったんですが、野菜買ってくれたりしますかね?」と飛び込み営業をはじめる始末。

一斉にトウ立ちしはじめる青梗菜、春菊、葉大根 トウ立ちしてしまうと野菜は固くなって食べられません。2.3日で花を咲かせてしまいます。

八百屋さんの答えは「長年付き合っているおばあちゃんの野菜を売っているので裏切れない。おばあちゃんと被らない野菜ならウェルカムです。」とのこと。一瞬いいじゃんと思いましたが、問題は金額がかなり安いこと。日本の農業問題として農家が高齢化しており、年金をもらいながら趣味で野菜を売っている方もいるらしく、おそらく典型的なこのパターンかと。ちゃんとした売り先も考えないで栽培をはじめた無計画さを悔やむばかりです。
後日鬱屈とした気分で研修先の先輩に相談しに行きました。先輩は「せっかく作った作物を潰しちゃう無念さは本当によくわかります。でもそこはぐっとこらえて緑肥とおもってすき込んじゃえばいいんですよ。仮にそれが嫌で安い値段で売ってしまうと、私達がなんのためにこだわって栽培しているのかがわからなくなっちゃう。短期的にものを考えるのではなく中長期的な視点をもって価値がわかってもらえる人に販売しないと結局は自分の首をしめますよ」とのこと。心にジーンとしみました。育った春菊には本当に申し訳ないですが、私がやろうとしていたのは、一人の兵士を救うために一大隊を犠牲するまさに映画プライベート・ライアンです。
なんのためにこの農業をしているのか?無計画な私にまだまだ答えが見えるのは先になりそうですが、トウ立ちした春菊の問いかけは大事に胸に刻みこみたいと思います。

夕日に照らされ、「なんのためにこの農業をやっているのか?」春菊を潰した畝を見ながら一人問いかけます。
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